活けものは魚のテクスチャーを優先に...
よく目にする「活け」という文字。活けものは新鮮!もちろんそうなのですが、活けとはいったいどういう状態のものなのか...。
魚の締め方には「野じめ」と「活きじめ」とがあります。水揚げして水氷や低温のところで自然死させるのを「野じめ」、
ピンピンと生きのよい魚の頭の近くの延髄に包丁を入れて即殺し、血を絞り抜くのを「活きじめ」といいます。
なお同一条件で保存するなら、活きじめのほうが鮮度は長もちします。
魚介類は死後まもなく死後硬直といって一時的に筋肉が硬くなります。その後熟成に入り腐敗へと向かいます。
活けものとは活きじめし、死後硬直前の状態をいいます。刺身で「活き造り」がありますが、この身肉は硬く締まり、
コリコリとした噛みごたえがあります。そのため刺身にするとき、厚身では弾力が強く食べにくいので薄造りにします。
しかし魚のおいしさを、舌触りや歯ごたえのことを考えに入れず、旨味の多い少ないという点から考えると、
本当の旨味は死後硬直後の「熟成の過程」においてペプチド、アミノ酸、イノシン酸という旨味成分が生成されます。
同時に身肉もやや柔らかくなります。鮮度と歯ごたえ、弾力性といった魚のテクスチャーを楽しむ食べ方なら「活けもの」を。
旨味を楽しみたいのなら、少しねかせて熟成させたものを。なにも活けものだけがいいってわけじゃありません...。